2024/09/05
【試験実施例3】正常ヒト皮膚線維芽細胞による抗炎症作用評価試験(皮膚トラブルの改善効果)

皮膚は、外界環境と常に接触していてさまざまな刺激にさらされています。炎症は、微生物などの異物や死んでしまった自分の組織を排除して生体の恒常性を維持する防御反応と考えられています。皮膚で過度な傷害やUV、ストレス、何らかの感染などにより過剰な炎症が起こり、かゆみ・赤み・腫れ・痛みなど皮膚のトラブルが引き起こされます。
・抗炎症作用評価試験
ケルセチンは、柑橘類やお茶など多くの植物に含まれており、抗炎症作用を持つことが知られております。試験例では、ケルセチンの抗炎症作用を評価するため、グラム陰性細菌の細胞壁の成分で強力な自然免疫誘導活性をもつLPSを、ケルセチンで前処理した正常なヒト皮膚線維芽細胞に添加して、細胞から分泌される炎症性サイトカインの1つであるIL-6を測定しました。
測定の結果、線維芽細胞へLPS刺激のみ(コントロール)では、大量のIL-6の放出が確認されました。一方で、ケルセチン処理した線維芽細胞にLPS刺激すると、コントロールと比較して、IL-6濃度の有意な減少 (p<0.05)したことから、ケルセチンが炎症反応の抑制効果をもつことが確認されました。(当所のオリジナルデータ)
抗炎症作用評価試験は、例えば、薬用植物の抽出物や化粧品の原料の、かゆみ・赤み・腫れ・痛みなど皮膚のトラブルの抑制効果について調べる試験として有効です。