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7/3(水) 再生医療のトップランナー岡野光夫(おかのてるお)先生特別講演

再生医療とバイオマテリアルの権威、岡野光夫(おかのてるお)先生が、obmのバイオ学科・バイオ技術学科の学生に「再生医療の実現と今後の課題」をテーマに講演をしてくださいました

岡野先生は、再生医療の可能性を大きく広げる「細胞シート工学」を世界で初めて提唱され、世界的トップランナーとしてグローバルに活躍しておられます
今回は、細胞シート開発と再生医療研究の現状と展望についてお話しいただきました。


■岡野光男先生のご経歴
早稲田大学理工学部、大学院を修了(工学博士)後、1994年より東京女子医科大学教授、ユタ大学併任教授、2001年より2014年3月まで東京女子医科大学 先端生命医科学研究所所長、2012年10月より2014年3月まで同大学副学長、2014年4月より同大学名誉教授・特任教授。2011年より2013年まで内閣官房医療イノベーション推進室室長代行、2016年、ユタ大学に細胞シート再生医療センターを設立、センター長として現在もご活躍。
江崎玲於奈賞、紫綬褒章、日本科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)など国内外から多数受賞。

NHKの番組「プロフェッショナル仕事の流儀」にも出演されていますので、ご覧になった方もいるかと思います。
「再生医療 岡野光夫の仕事 “夢の医療"に挑む」(2011年放映)


それではご講演の内容から一部抜粋してお伝えします


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■細胞シートとは?
細胞シートとは、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したもののことです。

培養皿の中で細胞を増やして形をつくるだけなら、細胞培養技術を使えばよく、以前から成功例もあったのですが、難しいのはそれを治療に使うために、形をこわさずに培養皿からはがすことです

通常、培養皿からはがすには酵素でタンパク質を切る酵素処理を行います。みなさんも細胞培養の実習でやったことがおありだと思います。しかし、酵素処理をするとせっかく培養した細胞も傷ついてしまいます

「培養できても使える形で取り出せない」というジレンマが研究者の大きな壁になっていたのですが、私は工学が専門ですので、工学の視点からこの研究にアプローチし、細胞そのものではなく、細胞を培養する容器に最新の工学技術を取り入れることで、細胞の機能を失わせずにシート状にして取り出すことに世界で初めて成功しました


■細胞シートを使った再生医療
「工学技術」と、その技術を生かして治療に結びつける「医学技術」の融合により実現した細胞シートには、次のようなメリットがあり、新たな再生医療技術として注目を受け、次々に新治療を可能にしています

・患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない
・身体のどの部位の細胞からも作製できる
施術としては比較的簡単に行える
・細胞が生体組織に速やかに生着する
残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能

人に対する細胞シート治療の研究には10年以上取り組んでおり、次の3つのことをめざしています。

欠損した組織に細胞シートを移植して治す
⇒角膜・食堂・軟骨・中耳・子宮などで臨床試験も成功しています。
例えば軟骨の欠損の治療では、比較的健康な部分の軟骨を培養して細胞シートにし、それを欠損部分に貼り付けることで軟骨が再生します

かなり機能の落ちた臓器に細胞シートを貼ることで、機能を回復させる
⇒自分の細胞でできた「細胞シート」を弱った自分の心臓に貼り付けることで、劇的に機能が回復します。この心臓の筋肉細胞の細胞シートによる治療はすでに50人以上の患者を治療しています。

まるごと一つの臓器を作る
 最終的には細胞シートをたくさん作って何層も重ねることで、臓器をつくってしまうことも研究しています。
 ちなみにこの技術を応用することで食肉の培養なども可能です。


■医学と医療技術の発展
医学教育は、「今、治せるとわかっている病気」に対してどうやって直していくのかを学ぶものです。
まだ治すことが出来ない患者を治す方法は誰かが研究して生み出していくしかありません

治らない病気をどうやって治すかにチャレンジする上で大事なことは、医工連携だと考えています。
これは、医学(病気を治す技術)と工学(新しいテクノロジー)が連携することで、新しい治療テクノロジーを確立するということです。

ひとつだけの分野の技術では限界があるため、いろんな分野の技術を組み合せてインテグレートしていくということで、従来は解決できなかった技術を産み出すことができるようになります。


現在は、国内で承認された再生医療製品は二つだけで、欧米や韓国に比べて圧倒的に少ない状況です。また、まだまだ再生医療は高額な治療法で、誰もが受けられるものではありません。

私の夢は、再生医療を誰でも受けられる一般医療にすることです。そのためには、有効性が確認された製品を多く作り出し、それにかかる医療費を下げる努力を続ける必要があります。
自動で安全かつ大量に細胞シートを作る設備「組織ファクトリー」の開発などもそういった努力のひとつです。

自動化は今後進んでいくでしょうが、どれだけ機械化が進んでも、そのもととなる技術を産み出していくのは人間ですし、メンテナンスができるのも細胞培養の技術がわかってる技術者です

みなさんもがんばって技術を身につけていって下さい

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世界最先端の研究内容と、学生のみんなへの熱いメッセージに、みんな真剣に聞き入っていました

講演のあとの質疑応答のコーナーでは、こんな質問がでてきました。

Q.細胞シートを作るのは簡易にできるものなのでしょうか?
技術的な難易度や習得のための期間は人によって違うものなのでしょうか?


A.技術としてはちょっとコツが必要で今はまだ簡単とは言えません。
私の研究室で学んでいる学生に教えると、習得するのに1〜2か月、長い人では1年くらいかかっています。
どうすれば誰にもうまくできるようになるか、ということも研究を進めています。


細胞培養を学んでいるからこそできる、なかなかいい質問ですね
どんどん技術力を高めて、応用力をつけられるよう、しっかり実習を行っていきましょう

岡野先生、ご講演いただきまして誠にありがとうございました





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DATE:7/3(水) By 広報 今村

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